仮のカメラ運動に基づいた対応点とカメラ運動の同時推定

概要

複数枚の画像から撮影シーンの3次元復元を行う時、カメラの位置姿勢を推定することが必要とされています。カメラの位置姿勢を推定する方法として、画像間で対応する箇所(対応点)を探索し、その結果から推定を行う方法がよく利用されます。対応点を探索する手法は複数提案されていますが、誤った対応が含まれることがあります。誤った対応が含まれると、画像間の正しいカメラ運動を求めることができません。これらの誤った対応点の影響を軽減して推定を行う方法にRANSAC(以下、既存手法と表記)と呼ばれるものがありますが、誤った対応点が多い画像であると、既存手法による推定結果が実際のカメラ運動と一致しないことがあります。下の例では、既存手法により得た対応点に誤対応があり、これらの対応点にて推定を行った結果、設置したマーカから得たカメラ運動とは異なる位置が得られました。

既存手法により得た対応点

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既存手法により得たカメラ運動

本研究では、ユーザが目視で指定した仮のカメラ運動を初期値として与え、そのカメラ運動を基にしたエピポーラ幾何の制約と三角網を用いた周囲の特徴点との幾何学的制約に合致する対応点を選択してカメラ運動を推定します。しかし推定したカメラ運動は、仮のカメラ運動を元に定めたエピポーラ幾何の制約を用いているので厳密に正しいカメラ運動とはなりません。そこで、カメラ運動を推定した後に新たなカメラ運動から得られるエピポーラ幾何の制約を用いてカメラ運動の推定を行います。そしてこれを繰り返し行いながら、エピポーラ幾何の制約を徐々に厳しい条件にして行くことで、最終的には正しいカメラ運動を得ることとします。

先程の画像組について提案手法を適用したところ、既存手法よりも提案手法の方が円形マーカに近い値となったことが下のカメラ運動描画結果からわかります。なお仮のカメラ運動は、第1カメラに対して第2カメラは画像右方向に位置し、第1カメラの方向に45度カメラをパンさせた値としました。

提案手法により得た対応点

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両手法により得たカメラ運動

また、円形マーカから得たカメラ運動と両手法にて得たカメラ運動を以下の表の通り比較したところ、提案手法の方が円形マーカから得たカメラ運動に近い値となりました。以上より、既存手法ではカメラ運動の推定が失敗してしまった画像組においても、提案手法では概ね正しくカメラ運動の推定が行われたことを確認しました。

円形マーカから得たカメラ運動との比較

  回転行列差分ノルム 並進角度差[度]
既存手法 0.716072 66.763907
提案手法 0.17143 4.950968
提案手法 + RANSAC 0.180644 3.477779